2005年05月27日

「全てがゼロ、だから成功する」    黒田敏夫

肉厚、かつ泥臭い本である。オーナー社長であり、自らワンマンと称している。平成のスマートな起業家と昭和の起業家の違いを如実に感じ取れる作品です。特にこれから情報産業で生きていく人たちには、大いに参考にする点があると見受けられる。

着眼点
「体感データベース」
著者は「直感」という言葉を随所でつかう。しかし、導き出される答えは実に興味深い。創る側、売る側、使う側、生の情報を体に刻む。私は経理の経験もあるが、そこは企業の活動情報の産物だ。数字だけの整理なら、ルールさえ覚えれば極論だれでも出来る。しかし、「これは、生き銭か、死に銭か」の見極めは、実態の生情報を掴んでいないと判断できない。単に金額の大小ではないのだ。では生な情報とは何なのだろう。


読後の収穫
「見えない前提を正しく嗅ぎ分ける」
「業界の全貌を掴む」
著者の成功は会社という狭い世界の前提に縛られず、「全国飛び込みセールス」という桁外れの「行動の枠組みの変化」に起因される。それにより業界の体制と体質が顧客の欲求との格差を生んでいることを感じた。さらに一歩押し上げてこの業界の未成熟さと、成長要因に気付く。

はじめに顧客ありき
「フォーカスポイント」
焦点を何処に当てるのかで、商品は驚くほど変貌し、お客様の触手を刺激する。本著に書かれているシチュエーションを意識したモノ創りは、「何のために買うのか?」という至極当たり前なことでもあるし、こんな使い道がありますよという市場への提案でもある。

一歩踏み出す決断
「相互発展か共食いか」
一つのサービスが確立されれば、既存のマーケットを失う。そんな恐れを抱くことがしばしばある。しかし商売も進化のメカニズムの枠からは逃れられない。挑戦を忘れた組織では発展はないし、その維持さえ難しい。

後記
泥臭い本である。しかし、内(会社)と外(市場)の人間集団をリードする経営者は、人間本来の、生臭みの欲求の中を泳ぐ精神バランスが大切なのだろう。「曲者も上手に使いこなせなければ会社は生き残れない。」という言葉が現実的な本である事を示唆している。
現実に一人の人間が、豆粒程の会社をつくり、業界を刷新し続け、上場企業になっていくプロセスを体系的にみられる良著はなかなか無い。


今回ご紹介させて頂いた本

全てがゼロ、だから成功する―地図王への道
【関連する記事】
posted by 商いの道 at 21:05| Comment(0) | TrackBack(2) | ビジネス書ー伝記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

全てがゼロ、だから成功する??地図王への道(黒田敏夫「昭文社」創業者)
Excerpt: <金曜は本の紹介> 「全てがゼロ、だから成功する」の購入はコチラ  この本は、現
Weblog: 株☆子育て☆本☆車など
Tracked: 2006-03-10 15:09

全てがゼロ、だから成功する―地図王への道
Excerpt: 3月29日出品の商品。 「地図についての内容かなぁ」 と思って購入したのですが、そうではなくて、 著者の経営哲学(セールス中心)だったので、 私の希望と..
Weblog: 台東ブックスネットの店長日記
Tracked: 2006-09-28 18:47
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。