2005年05月09日

「君に成功を贈る」  中村天風

あまりに有名な人だが私が作者の本を読むのは初めてです。成功という言葉がここ数年書店に乱立していてその価値が希薄に思っている人も多いのではないだろうか。しかし、翻せば、それ程「個人として開花したい」という欲求の如実な現れでもあると私は考えています。

着眼点

「不動たる自己を打建てよ」
全頁に亘って作者が語りかけるのは、この一言に尽きるのではないか。揺ぎ無いものを心に宿した時、人は自分自身の命の意味を悟る。作者の言いたい成功の中味は、この「揺ぎ無いもの」ではないだろうか。そのためのスタートの切り方を独特な節回しで説いている。政財界・思想家達に大きな影響を与えたのも頷ける。

読後の収穫

「他人がいるから、自己の在り様が問われる」
他人に好かれる人間になる。とこの本は始まる。これは社会にでて最も大切な事なのだと。人生の根本基盤なのだと。子供の時はそう考えもしないが、社会という自分と生い立ち、考えが違う集団に組み込まれると、仕事、恋愛、等で「自分を好きになって貰わないと困る」という場面は必ず出てくる。自分が相手に好かれているということは、競争社会において優位性を約束されているようなものだ。のみならず、容易に手助けができる。これは人という複雑な個性達を統治する力の源の一つなのかもしれない

「すべては自分が招き寄せる」
一昔前、自己責任という言葉が日本ビジネス界を蓋う時期があった。ビジネスという短期間の結果如何が問われる世界で、良くも悪くも非情な響きで機能した。人が、幸福・成功を手繰り寄せるための行動の過程で多くの試練と苦労を招き寄せる。失敗や一時的な挫折も必要悪ならぬ、必要苦とも呼べる。「すべては自分が招き寄せる」そう思えば、人・事に真剣になり、謙虚に向き合える。自己改革というのも、すべてはここから始まる

後記
文脈が語り口調で展開されるので、中村天風氏の個性が伝わる。氏のファンも世代を超えて多くいると思います。この本は最終頁に氏の金言100選が記載されている。本著全体に言えることは、精神の弛みをとり、精神の緊張を解すということを感じました。自分という個性を如何なく発揮するためにも「心の定め方」が自分の内界、外界を日々つくっているのだと感じました。

今回ご紹介させて頂いた本君に成功を贈る

中村天風さんの書籍

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2005年05月07日

「自分の限界を感じたあの日」熊野古道・高野山 空海との出会い

今回は少し赴きを変えて、自分自身の体験を綴ります。少々お付き合い願います。

僕は数年前の冬、ある会社を辞めました。当時の僕は、精神的にも肉体的にも限界を超えていました。家には帰れない日が半年以上続き、退職期日は伸び伸びになり、エンドレス・ジョブ!まさに「狂う」という状態でした。「枯渇したものを養わなければ自分は前に進めない...。」というよりむしろ、この状態で時間が刻々と過ぎる怖さから僕は逃げたかった。

 こんな時、人は非日常を意図的に演出する手段を知っている。「旅行」ではなく、それは「旅」なのだ。剥き身の自分と向き合い、雑音のない世界で自分と対話する。レゲーの神様「ボブ・マーリー」が言うように「内なる心の声に耳を傾ける」という時間は長い人生の中で突然やってくる。

明確な目的を伴った時間は、経験として蓄積され、感覚を鋭敏にさせる。そう僕は、旅の目的、テーマを持ちたかった。自分の経験を超えた世界...。つまり「歴史」。風化されることのなく維持されてきた価値観というものに触れてみたいと。

現在という自分が生きている世界と時間は、歴史という流れの一つの断面図に過ぎない。

「目指すもの」と「目指し方」〜あえて不便の利を見つめなおす。 
世の中が便利になるにつれ、当たり前の事を見過ごしがちになる。僕がここで言いたいのは「有難味」の感覚が自分の人生の味わいに大きく影響を与えているという事です。
僕は、当時生意気?に車を持っていました。しかし、この旅には不向きと考え、バイクを購入しました。HONDA Benly50という原付バイクを購入し、「熊野古道」を走る事を心に決めました。
季節のもたらす感覚、風・匂い・温度・色彩...。真冬の赤い原付バイクに70リットルの巨大ザック、他県ナンバーは、立ち止まり地図を確認する度に、多くの人の優しさに支えられた。

終着点の感動は、出発からの道程が左右する
こんな言葉はないが、快適とスピード重視の為に途中、多くのものが耳と目に入らないでいる自分に気付いた。車よりも遅く、車よりも寒く。囲いの無い剥き出しの世界は、時に突き刺す程容赦なく、時に包込まれる程素晴らしい。バイクならではの良さの一面を垣間見た気がした。続きを読む
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2005年05月03日

「成功者の告白] 神田昌典

たいへん珍しい本です、ビジネス書としては。物事に陽と陰、表と裏が同時に混在するのは誰もが経験で知っている。しかし、個人の輝かしい業績を論理的、情熱的に語るビジネス書とは一線も二線を隔す。小説という表現手法を作者があえて使用した意図は、創造性という、読者の疑似体験化と思考の膨らみを最大限に活かす狙いがあったのかもしれません。一般ビジネス書は、いい意味でも悪い意味でも、先に手本ありき、その根拠は、、、、と展開される。また、作者に対する、天才仕事職人という勝手な私のイメージもかなり変わった。自分が傷ついた分、まわりも知らずに傷つけていた。その気付きが作者に幅と深みを、陰影が心に奥行きをつくり、深々と降る粉雪の様な、静かな言葉で読み手に降り積もる。
この本は、私の期待を裏切り、ホントに数時間で読んでしまった。副題「5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語」は、私にとっては事実になった。

着眼点
「基盤無くして実り無し」
事を起こす起業家は目標に対する集中と執念に迫られる。上見て、己の足元変化を知らず。
私は20代、仕事に成功するのが、これからの自分全ての人生の成功に繋がると信じていた。仕事に盲目に取組む姿勢は美学と思っていた。

読後の収穫
「宝石の原石を磨くのか、目の前のただの石を磨くか
起業時におけるビジネスの成功と経営者の優秀性は一致しない。その時代の押出しという圧倒的エネルギー条件が起業を成功(急成長)に導くのである。鍵は市場参入のタイミングそのものが、実は、その後の会社の前提条件を作る。そのためには、まずダイヤの原石を努力して発見し、そののち磨くことに努力する。勝負はこんなところからもう始まっている。

「先んずれば人を制す」
これは、軍略書の「孫子」の有名な一説である。先行の負と同時に、先行の利を説いている。先行者は先例がない為、大きなリスクを背負う。しかし、先行の利は、時間というこの世で唯一買えない?ものを既に経験として持っていることだ。つまり、未開拓分野の習熟度合いが違う。

「絶望の果ては、生まれ変わりの始まり」
良くも悪くも、自分とそれ以外の相乗効果で好循環、悪循環が決まる。全ては有機的結合の結果なのだ。悪い状態の時は、自分中心で物事を見てしまう。なぜこんなにがんばってやっているのにと。しかし、相手が本当に求めているのは、別なものだったり。異質に共感するのは、相互理解が必要。その前に、相手を知る。自分を知る。(相手の視点で)。その知り方のヒントが書かれている。

後記
神田昌典が書いた本というより、神田昌典という一個の人間の性を垣間見た作品です。作者はこの本を書き始めた時と書き終えた時では、何かが違っているはずだ。読み手もまたしかりです。

今回ご紹介させて頂いた本
成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語

神田昌典さんの本
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2005年04月27日

歴史に学ぶを紹介するにあたり

私は、歴史小説に近頃はまっている。ビジネス書のような明確な回答がここでは用意されていない。しかし読み手の心境や、これまで過ごしたキャリアによって、本から得られるものは個々人によって異なる。「賢者は歴史に学び愚者は経験から学ぶ」という言葉がある。私自身やはり経験と照らし合わせてしか物事を判断できない自分がいる。しかし時代に流れがあるように、うねりを読み舵を取れる人間が、新しい時代を産み出す魁となる。歴史にロマンを感じるのはこうした人物の生き様に惚れ、感化されるからだ。時代を切り拓いてほしい。もしくは切り拓きたい人が挫折していた時に、紹介した本が、魂の原動力の一つとなればなおうれしい。強く生きるには、「人間ここまで出来るという」見本があれば心強い。人間そんなに強くないのだから。
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2005年04月25日

「孟嘗君」宮城谷昌光

中国の歴史小説です。物語は、三分の二が風洪(後の白圭)を中心に描かれている。残り三分の一を田文(後の孟嘗君)が活躍する構成です。何故?風洪?なぜなら、田文の命を救うばかりでなく、田文の生き方に大きな影響を与えた人物だからと解釈しています。風洪は侠があり、人の為に何度も命を投じる。
各場面場面の風洪の心境は、窮地の読者の生き方に勇気と決断を与えてくれるのではないのでしょうか!剣士として凄腕な風洪が何故か商いの道を志す。「義を買い、仁を売る。利は人に与えるものだ」と。
 田文は風洪のもとで、人間としての素地を磨いてゆく。その魅力は人才を引き寄せる。田文は裏切りの日常の戦国時代で約束「信」を守ることで、その影響力を高めていく。「人の運命は複雑さをともなっているようにみえるが、単純なものだ。平凡であるとさえいえる。その平凡を全身で受け容れる者こそ非凡といえる。」と。

着眼点
大道を進む勇気と幸せ
人は誰もが幸福を望む。そして自分の人生にその個性をより反映させたいと願う。しかしそのしかるべ き道筋を選んで進むことは容易なことではない。本著に「人は生まれつき均しくない。それがわかっていながら、平等感を欲している。ところが、人は平等でありたいと思いつつ、自分だけは特別である、とおもっている」
世の中は自分だけが存在しているわけではない。この本は人が社会に携わる事は如何なる事かを歴史を借りて投げかけている。

読後の収穫 
情けは人の為ならず
人を助けることで自分も助かる。世の中は広いようで狭く、循環の網が張り巡らされている。長い時間をかけて廻る
座らない学問  
「両目両耳を使え」(内観外観、外聴内聴)
起きている間に起きることは全て学べる。外の変化を耳目し、同時に生身の心に起こる変化にも耳目を傾ければ日々学ぶことが出来る。
与えることは得ること
「財は人に積む」
財を物で形創れば、天災に遭えば弱い。しかし人に財を尽くせば、その恩恵を慕い協力して再び事業を再開できる。
奇跡はすでに準備されている
「良行の積重ね」
人は知らず知らず人の心に足跡を残している。そしてつながりをもっている。信じられない悪事・良事も過去の行い次第なのだ。

今回ご紹介させて頂いた本孟嘗君〈1〉

宮城谷昌光さんの本
posted by 商いの道 at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史小説に学ぶ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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